2023年8月22日火曜日

VMware Explore 2023 Las Vegas - vSphereに関するアップデート

2023年8月21日〜24日にVMware Explore 2023 Las Vegasが開催され、VMwareソリューションの各種最新情報が発表されます。本ブログ記事では、Compute(vSphere)に関わる製品の発表で、個人的に気になったポイントをクローズアップしてお伝えします。

※本ブログ記事は、vExpert向けのBlogger Early Accessプログラムで発表された内容をもとに記載しています。可能な限り正確な情報を掲載するよう努めていますが、必ずしも情報の正確性を保証するものではありませんのでご了承ください。

Compute関連アップデート

数あるVMware製品の中で、一番の代表製品であるvSphereに関わるアップデートです。まず冒頭に、今回のvSphereに関わるアップデート発表の柱となるコンセプトについて3つのポイントをご紹介します。

Enhance Operational Efficiency:運用効率の向上
Supercharge Workload Performance:ワークロードのパフォーマンス向上
Accelerate Innovation for DevOps:DevOpsによるイノベーションの加速


これらのコンセプトを実現するためのアップデートが複数発表されていますが、今回のブログでは個人的に気になったアップデートをピックアップしてお伝えます。


vSphere + 

昨年にリリースされたvSphere+のアップデートです。

vSphere+は、VMwareがクラウドサービスとして提供するVMware Cloudのコンソールによって、vSphereを統合的に管理するソリューションです。

現在では、従来vCenter Serverで提供されてきたすべての管理機能をクラウドから利用できるわけではありませんが、vCenter Serverのライフサイクル管理、ライセンス管理、リソース状況の管理、構成管理、セキュリティチェックなどの機能を、企業で所有している複数のvSphere環境に対して行うことができます。


このvSphere+は、2022年6月のリリース後から頻繁に機能更新がされています。例えば、すでに現時点でも利用できるようになっている新しい機能として、以下のような機能があります。

vCenter Cloud Gatewayの管理

vSphereをクラウドサービスと接続する仲介役を担う「vCenter Cloud Gateway」のステータス管理機能。



Subscription契約のレポート機能

契約しているサブスクプリプションの情報と使用状況の管理レポート機能。



日々の開発が進んでいるvSphere+ですが、今回のタイミングでいくつかの機能アップデートが発表されました。vSphere+の機能の中で個人的に注目したい、vSphere環境のライフサイクル管理についてご紹介します。


vCenter Lifecycle Managementの機能拡張

vSphere+の代表的な機能として、vCenter Serverのライフサイクル管理機能があります。この機能は、オンプレミスに展開されているvCenter Serverのアップデート実行・管理を、vSphere+のクラウド管理コンソールの操作によって実施する機能です。

特徴的な点として、vCenterのアップデートをマイグレーションベースの動作をすることで、低ダウンタイムでのvCenter Server更新を実現します。
(新しいバージョンのvCenterを新たに展開し、古いvCenterから新しいvCenterへデータを移行する方法)


また、このvCenter Serverの更新機能は、前提条件の制約がいくつかありますが、今回のアップデートでvCenter HAを利用している環境でも対応可能になっています。


ESXi Lifecycle as a Service

また、vSphere+に関わる大きなアップデートとして、ESXiのアップグレード管理機能が発表されました。

前述のvCenter Serverの更新管理機能とあわせ、vSphereのコンポーネントである[ESXi][vCenter Server]の両方のライフサイクル管理が、vSphere +のクラウド管理コンソールによって行えるようになります。

まだ、一般提供(GA)はされていませんが、個人的には機能がリリースされたらすぐに動作確認してみたい機能です。





vSphere

昨年のVMware Explore 2022のゼネラルセッションで大々的に発表されたvSphere 8ですが、今回アップデートバージョンであるvSphere 8 Update 2が発表されます。

vSphere 8 Update 2では、管理者の運用効率を向上するための機能が多く発表されています。


Update vCenter with Minimal Downtime

まず、vCenter Serverのアップデートに関わる機能拡張です。

通常、vCenter Serverをパッチ適用でメンテナンスする際、サーバーの再起動が発生するため、再度vSphere Clientにアクセスできるようになるまで多少の時間がかかります。

今回の機能アップデートは、vCenter Serverメンテナンス時のダウンタイムを短くする形での、アップデート機能が追加されます。この機能は、前章でご紹介したvSphere+のvCenter Serverアップデート機能(マイグレーションベースのアップデート)が、オンプレミスvSphere単体にも実装される形です。


Non-Disruptive Certificate Management

続いて、管理者の手間を削減するためのアップデートとして、vCenter Serverの証明書更新に関わるアップデートが発表されています。

vCenter Serverサービスを再起動することなく、vSphere Clientの操作で証明書を更新することができます。vCenter Serverの証明書更新は、頻繁に発生する作業ではないですが忘れたころにやってきて慌てて対応しないとならなかったり、サービス再起動のためにvSphere Clientのダウンタイムが数十分ほど必要になっていたり、何かと手間がかかっているかと思いますが、このアップデートによってサービス停止が必要なく証明書の更新が可能になります。




vSphere Identity Federation with Entra ID/Azure AD

Microsoft Entra ID(Azure AD)が、vSphereと連携可能なIdentity Federationサービスとして追加されました。

これにより、下記スライドのように「AD/LDAP」「AD FS」「Okta」「Entra ID(Azure AD)」といった主要なID管理ソリューションと連携可能になり、企業で利用しているID管理ソリューションを活用してvSphereへのシングルサインオンが利用できるようになります。




Expanded vSphere Distributed Services Engine Ecosystem


昨年発表された「vSphere Distributed Services Engine」の機能を活用可能なハードウェアベンダーが拡張します。

「vSphere Distributed Services Engine」は、DPU(Data Processing Unit)と呼ばれるデータ処理特化型のチップを搭載した、NIC(Network Interface Card) 上で ESXi を動作させるものです。従来 ESXi 自体がCPUの力を使って提供していたネットワーク機能を、DPUが搭載された NIC へオフロードすることで、アプリケーションが実行される CPU への負荷を軽減するテクノロジーです。

機能リリース時のvSphere 8のタイミングでは、DELLとHPEが対象のサーバーを提供するハードウェアのベンダーとして、パートナーシップが発表されていましたが、vSphere 8 U1のタイミングではLenovoが追加され、今回のExploreで発表されたvSphere 8 U2のタイミングでFujitsu Systemsが追加されています。





Improved Placement for GPU Workloads

続いてGPU(Graphics Processing Unit,)に関わるアップデートです。
vSphereのDRSは、従来vGPUが搭載された仮想マシンの自動移行に対応しておりませんでした。(vGPUを搭載した仮想マシンのパワーオン時に、リソース的に適切なESXiホストで起動を案内する機能は提供されていました。)

今回のアップデートによって、DRS が強化されvGPUをより効率的に活用できるようになります。
例えば下記キャプチャ図の、オレンジ色の仮想マシン(必要vGPU:4)を起動するために、既存の緑色の仮想マシン(vGPU:2)を別のESXiホストへ移行します。これにより、大きなリソースが必要な仮想マシンも効率的に稼働できるようになります。




Streamlining Supervisor Cluster Deployments

Supervisor Clusterのデプロイを簡素化する機能として、Supervisor Cluster構成ファイルをエクスポート・インポートできるようになります。よく利用する構成をConfigファイルとしてエクスポートし、新たらしいクラスターにそのConfigファイルをインポートすることで、環境をクローンとして構成することができるようになります。




おわりに

vSphereに関するアップデート情報をご紹介しました。本ブログに記載に内容以外にも様々なアップデートがありますので、ぜひVMware ExploreのセッションやVMware の公式Blogを確認し、最新情報をキャッチアップしてみてください。